『平家物語』冒頭部分です
祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
口語訳
祇園精舎の鐘の音には、
諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、
どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。
世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、
春の夜の夢のようである。
勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、
まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。
「耳なし芳一」で有名な「琵琶法師」が語ることで有名。番組でもタイトルのバックに「琵琶」がありますね。子供のとき、はじめて「耳なし芳一」のお話を聞いた夜は、怖くてトイレに行くことができなかったことを覚えています。番組監修の斉藤氏もその著書「声に出して読みたい日本語」の中で、この平家物語に触れ、「琵琶法師の語りの技は、聴いている平家の亡霊たちの肉体を揺さぶり、悲痛な叫びをあげさせる」とあります。亡霊の肉体を揺さぶるというのが凄い…